探究の問いをつくる、AIに答えではなく問いを出させる方法
児童生徒が良い問いを立てられるように、AIを回答者ではなく問いのコーチとして使う授業設計を紹介します。
授業で「質問のある人」と尋ねると、教室が静まり返ります。生徒が質問できないのは好奇心がないからではなく、良い問いのつくり方を習ったことがないからです。十数年にわたって答えを当てる訓練ばかり受けてきたので、問いをつくる筋肉を使う機会がなかったのです。そしてAIの時代に、問いはいっそう重要になりました。答えはAIが瞬時に出してくれるので、生徒の競争力は何を問うべきかを知る力へと移っていきます。同じAIを使っても、狭く鋭い問いを投げる生徒と漠然とした問いを投げる生徒とでは、成果物に天と地ほどの差が出ます。逆説的ですが、この問う力を育てるためにこそ、AIを回答者ではなく問いのコーチとして使うことができます。
AIを問いのコーチに据える方法
AIに答えを出させると、生徒は書き写すだけになります。問いを出させると、生徒が考え始めます。
- 問いを返す: 生徒が何かを尋ねたとき、AIがすぐに答えず、**「その問いをもっと狭めるとどうなるだろう」**と問い返すように設定します。
- 問いの格付け: 生徒がつくった三つの問いを、AIが「検索すれば済む問い/考えなければ答えられない問い」に分類して見せます。
- 問いの変形練習: 閉じた問いを開いた問いに変える例をAIと一緒につくり、生徒に変形のパターンを身につけさせます。
- 問いをつなぐ: 一つの答えから次の問いへとつないでいく芋づる式の思考を、AIが横から刺激します。
答えるのが上手なAIの時代だからこそ、教室が育てるべきは答えではなく問う筋肉です。
1時間で行う問いづくりの授業
社会の時間に「都市化」を扱うとしましょう。問いづくりを中心に置いた流れは次のとおりです。
- 問いの爆発(5分): テーマを見て思い浮かんだ問いを量で出し切ります。良し悪しは問いません。最初は手が挙がりませんが、「五つずつ書こう」と数を決めてあげると、詰まっていた生徒もとりあえず書き始めます。
- AIによる分類(5分): 出し切った問いをAIに入力し、閉じた問い・開いた問いに分類してもらいます。
- 問いを磨く(10分): 閉じた問いを一つ選び、AIのコーチングを受けながら探究できる開いた問いへと変形します。
- 問いの検証(10分): 磨いた問いについて「調べる材料があるか、答えが一つに決まっていないか」をペアで点検します。
- 問いの採択(5分): 最も探究する価値のある問いを一つ、グループの代表の問いとして決めます。
この授業の成果物は答えではなく問いそのものです。生徒がつくった問いの質が、最初の時間より最後のほうが良くなっていれば、その日の授業は成功です。
まとめ
AI時代の授業設計は、答えを上手に受け取る方法よりも問いを上手につくる方法を教えるほうへ重心を移す必要があります。AIを回答者ではなく問いのコーチとして据えれば、生徒は問いを分類し、変形し、つないでいく思考を自ら訓練できます。次の授業の導入の5分を、「答え探し」ではなく「問いの出し切り」に変えてみることをおすすめします。生徒たちは最初こそぎこちなくても、自分の問いがだんだん鋭くなっていく経験をすれば、教室は問いのある教室へと変わり始めます。

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