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授業設計

反転授業のはじめの一歩、事前動画にAIを挟み込む設計

反転学習の事前学習動画にAIを添えて、視聴の離脱を減らし、授業時間を活動に取り戻す設計法をまとめました。

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反転授業をはじめて試みる教員が真っ先にぶつかる壁は、「児童生徒が動画を見ずに来る」という現実です。5分の概念動画をつくって上げても半分は最後まで見ておらず、見てきた児童生徒についても何を理解したのかわからないまま授業が始まります。そのため本時が再び説明で埋まり、結局「反転」が消えてしまいます。これは意志の問題ではなく、事前学習の段階にフィードバックの輪がないという設計の問題です。動画のうしろにAIを一枚重ねれば、この輪ができあがります。

事前学習動画のうしろに何を付けるか

動画そのものをAIで華やかにつくる必要はありません。核心は、視聴のあとに児童生徒の手を動かさせ、その結果が教員のもとに届くようにすることです。

  • 3問の自己確認: 動画の直後に選択式2問と一行記述1問をAIチャットボットが示し、その場で正誤を知らせます。児童生徒は、自分が何をわかっていないのかを、動画が終わったその瞬間に知ることになります。
  • 詰まった箇所の質問を受ける: 「理解できなかったところを一文で書いてみてください」と案内したうえで、AIが児童生徒の言葉で改めてかみ砕いて説明します。教員が夜に一つひとつ答えるのが難しい質問を埋めてくれます。
  • 一行要約の提出: 児童生徒が動画の内容を一文で要約すると、AIが重要語の抜け落ちの有無を指摘します。

この三つの成果物が授業開始前に教員のダッシュボードに集まることが、設計の目標です。

事前学習とは「見させること」ではなく「見た跡を残させること」です。跡がなければ、本時を設計する根拠もありません。

本時をデータで組み直します

夜のあいだに集まった自己確認の結果を授業の5分前に眺めると、その日の動線が変わります。たとえば正答率のデータを次のように活用します。

  1. 正答率85%以上の概念は本時で扱いません。すでに理解している内容をもう一度説明する時間の無駄を断ち切ります。
  2. 正答率50〜84%の概念はペア討議5分で処理します。理解した児童生徒が、わかっていない児童生徒を埋めるようにします。
  3. 正答率50%未満の概念だけを教員が直接説明し直します。たいてい一時間あたり一つか二つに絞られます。
  4. 共通して詰まっている質問は黒板に掲げておき、授業を始める切り口として活用します。

こうすると40分の授業で説明が10分以内に減り、残りを問題演習と活動に回してあげられます。はじめの一、二週間は児童生徒が自己確認を面倒がりますが、「解いてこなければ本時でまた説明を聞くことになる」という決まりが根づけば、視聴の完了率は上がっていきます。

まとめ

反転授業の成否は動画の品質ではなく、事前学習に付いたフィードバックの輪にかかっています。AIはその輪を自動化する道具にすぎず、自己確認の3問と詰まった箇所の質問、一行要約という軽い成果物だけでも、本時を設計する根拠がつくられます。最初の単元では欲張らず、自己確認の3問だけを付けてみられることをお勧めします。一時間分のデータが積もるだけでも「今日は何を説明しなくてよいのか」という判断ができるようになり、その判断こそが反転授業を支える本当のエンジンになります。

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